〜自我の目覚めと他者と繋がる喜びを、躍動感溢れる画面構成と色彩で描いた傑作〜
森に住み、歌とアコーディオンが上手な僕
(=ユックリ)
町に住み、ダンスが得意な私
(=ジョジョニ)
ふと気がつくと二人は一緒に踊っていて、いつの間にか知らない町に辿り着く。
祭りの真っ只中、花火(恋のドキドキ感)があがる中を更に踊り続け、ふと気付けば誰もいなくなっていて、帰路につく。
ユックリは少し歌が上手に、ジョジョ二は少しダンスが上手になったような気がし、また明日がやってくる。
自分の得意な事に夢中になっていたら、ゆっくりと徐々に、周りの景色、さらには自分の中の景色もが変わっていく。
人にはそれぞれ得意なことがあり、価値観があること!
自分と真剣に向き合う中で、他者の存在を知り、お互いに溶け合い幸せを知り、また孤独の中に還っていくこと!
生きていくとは、その繰返しであること!
この本の凄い所は、これらについて教訓めいたお話ではなく体感的に教えてくれる所です。
「ユックリ」と「ジョジョ二」を対比的に描いた構図と「フーバ・トリロリ」「クルリクル」といった擬音語が生み出すリズム・・・
躍動感溢れる絵、ダンスと祭りの高揚感を感じさせる明るい色彩・・・
紙面を飛び越えて、二人の物語が色鮮やかに展開されます。
自我の目覚めと他者と繋がる喜びを、恋の始まりの甘酸っぱさと共に描いた傑作!
最後の余韻もまた味わい深いので、ぜひご一読下さい。
ユックリとジョジョニ(イメージの森)
作・絵:荒井良二