もりのなか
〜モノクロの静かな「もりのなか亅で、心の色彩と情緒を育む〜
第3回は、ユーモラスな動物の表情も可愛く、読後、何ともあたたかい気持ちに包まれる本書をご紹介します。
渡辺茂男さんが素晴らしい書評をされているので、全文の中から一部抜粋します。
『もりのなか』は、黒のコンテだけで描かれた、白黒の静かな絵本です。
幼いぼくが主人公で、一人で森へ散歩にいき、いろいろなどうぶつに出会い、みんなでたのしくあそびます。
そこには、くらいすずしい木陰ばかりでなく、小川も、陽のあたるピクニックの広場もあります。
読者の幼い子どもたちは、主人公の男の子になりきって、森の中を散歩しながら、それぞれの情景で、その情景に一ばんふさわしい色を感じ、光を感じ、森の香りにひたります。
それは、クレヨンや絵の具の色だけで表現することのできない微妙な色彩であり、時々刻々に、光とともに、動きとともに、変化していく色彩なのです。
子どもの成長とともに変化していく色彩であり、香りであり、情緒でもあるのです。
最後にかくれんぼをやり、ぼくが鬼になり、目をあけると、どうぶつは、みんなかくれてしまい、おとうさんが迎えにきています。
私は、この絵本が大好きなのですが、とくに結末が好きで、ぼくのおとうさんのやさしさ、それは、エッツさんのやさしさでもあり、また、エッツさんが、ご自分のおとうさんに感じられたやさしさを、しみじみと感ずるからです。
〜渡辺茂男『心に緑の種をまく』より〜
読むと、思わず公園や近所の木立の中で「もりのなか亅ごっこしたくなる、親子の遊びも豊かにしてくれる素敵な一冊です!
もりのなか
絵・文 マリー・ホール・エッツ
訳 まさき るりこ
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